素材帳 / もの
猫ちぐらと猫つぐら
稲わらで編まれた、日本の猫の寝床。

雪国の冬仕事から生まれた猫の家
新潟と長野の県境、雪深い山あいの村に、稲わらで編んだ猫の寝床が伝わっています。
もともとは、農作業の合間に赤ちゃんを寝かせておくための「つぐら」という道具がありました。稲わらを丁寧に編み上げた、ゆりかごのようなものです。それがいつしか、猫のための寝床としても作られるようになりました(新潟県観光協会 公式サイトによる)。
新潟県関川村では「猫ちぐら」、長野県栄村では「猫つぐら」と呼ばれています。呼び名は違いますが、稲わらを手で編み上げるという製法は共通しています。
猫ちぐら(新潟県関川村)
関川村の農家に古くから伝わる民芸品です。新潟県観光協会の公式サイトによると、その技は「村外不出」で継承され、現在も「関川村猫ちぐらの会」の会員が一つ一つ丁寧に手作りしています。
素材は稲わらのみ。規格は特大・大・中・小・ミニの5種類があります。
道の駅地内の「関川観光情報センター」では、製作実演を見ることができます(土曜日を除く月曜〜日曜、10時〜15時)。
詳しくは関川村猫ちぐらの会 公式サイトをご確認ください。
猫つぐら(長野県栄村)
長野県庁の公式サイトによると、栄村つぐらは長野県知事指定の伝統的工芸品です(平成26年11月27日指定)。
長野県庁の記載では、「栄村では明治時代に稲作が始まると、冬期に子守りのための『ぼぼつぐら』が稲わらで造られるようになった。天然の稲わらの暖かさを活かし、手作業で丁寧に編み込む『猫つぐら』は、ペットブームと相まって需要が増大している」とされています。
製造は「栄村つぐら振興会」が担っています。詳しくは長野県庁 伝統的工芸品ページをご確認ください。
ペットと暮らす家に、なぜ稲わらの寝床か
稲わらで編まれた猫ちぐら・猫つぐらには、ペット家庭にとっていくつかの特徴があります。
通気性。稲わらは空気を含む構造のため、夏は蒸れにくく、冬はほのかに暖かいとされています(新潟県観光協会の記載による)。
自然素材。薬剤や接着剤を使わず、稲わらのみで編み上げられています。化学的な処理が施されていない点は、ペットの寝床として安心感があります。
猫の習性との相性。猫は自分の体がすっぽり収まる、薄暗くて狭い場所を好む傾向があるとされています。ドーム型の猫ちぐら・猫つぐらはその習性に合った形状です。
正直な注意点
入手までに時間がかかる場合があります。すべて手作りのため、注文から届くまでに数ヶ月かかることがあります。すぐに届く大量生産品ではありません。
作り手が減っています。どちらの産地でも、作り手の高齢化が進んでいます。この先も同じ品質のものが手に入り続ける保証はありません。
すべての猫が入るとは限りません。猫には個体差があり、囲われた空間を好まない猫もいます。購入前にサイズや形状を確認されることをおすすめします。
私たちがこれを素材帳に載せる理由
大工として建材や素材と向き合う中で、「長く使えるものには、必ず理由がある」と感じています。
猫ちぐらも猫つぐらも、雪国の冬仕事として何世代にもわたって受け継がれてきた手仕事です。稲わらという身近な素材を、時間をかけて丁寧に編む。その工程は、私たちが家づくりで大切にしていることと重なります。
日本の伝統的な手仕事が少しずつ失われつつある中で、こうした製品を知り、選ぶことが、技を守ることにもつながると考えています。
参考・引用元
この素材の参考に
ペットと暮らす家のリフォームについて、
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