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床暖房は、犬や猫にとって本当に快適なのか

体温調節の仕組みと、逃げ場の設計

文: 所沢の工務店 Pono.House

ペットと、人が、
心地よく暮らせる家を。
無垢のフローリングに体をつけて、目を細めて寝そべる三毛猫。奥の窓辺には観葉植物が並ぶ

冬の朝、暖かい床の上で丸くなる犬や猫の姿は、幸せそうに見えます。床暖房を入れた直後に飛んできて、腹ばいになったまま動かない。そんな光景が「ペットに優しい暖房」というイメージをつくっています。でも、本当のところはどうなのか。

Photo寄り添って眠る犬と猫(線画・やわらかいタッチ)
Better
Living
with Pets

数字の話

人よりも低い温度で、ペットは暖かく感じています。

温水式床暖房の床面温度は、通常 25〜30℃ 程度です(日本床暖房工業会のQ&Aより)。人間の体温(36〜37℃)より低い温度で暖めているため、多くのメーカーは「低温やけどの心配はほぼない」と説明しています。この数字だけを見れば、確かに安全に見えます。

しかし「安全かどうか」という問いの前に、もう一つ考えるべきことがあります。ペットの体が、人間とは違う仕組みで熱を扱っているという事実です。

目安とされる温度
人の体温
36〜37℃
床暖房の床面温度
25〜30℃
犬・猫が快適に感じる温度
やや低め

ペットは「冷たい床」で体を冷やしている

犬や猫は、床との接触や呼吸で体温を調節します。

人間は皮膚全体に汗腺があり、発汗によって体温を下げられます。しかし犬や猫の汗腺はエクリン腺が少なく、肉球や鼻先など一部にしかありません。そのかわりにパンティング(口を開けた速い呼吸)によって体温調節をします。

猫はさらに独自の方法をとります。ひんやりした床やタイルなどに寝転がって体の熱を逃がします。熱が温度の高いものから低いものへ移動する「熱伝導」という仕組みを利用して、体温を冷たい床に移動させているのです。

つまり猫にとって「冷たい床」は、体温調節の道具です。その床が常に暖かくなっているとすると、逃げ場がなくなります。

つまり、床はペットにとって「体温調節の道具」なのです。

床に横たわる猫の図。体から床へ、そして呼吸で熱が逃げていく向きを矢印で示している

「ずっと気持ちいい」が落とし穴

低温やけどのリスクに注意が必要です。

低温やけどとは、体温より少し高めの温度(約44〜50℃くらい)に同じ部位が長時間接触することで生じるやけどのことです(博多犬猫医療センターの解説より)。通常のやけどに比べて治りが遅く、痛みが長期化しやすいのが特徴です。

犬や猫には被毛があります。これが外部の刺激を和らげる一方で、皮膚が熱さを感じにくくなる原因にもなります。床からじわじわと熱が伝わっていても、表面では気持ちよさそうにしているため、やけどが進行していても飼い主には気づきにくい。

また、電気式の床暖房は発熱体のレイアウトによって部分的に熱が集中する可能性があり、温水式と比べてリスクが高まる傾向があります。

「気持ちよさそう」だけで判断せず、ペットが自分で離れられる環境をつくることが大切です。

暖かい床の上で身を寄せて眠る2匹の犬の図。「気持ちいい…」の吹き出しと、約44〜50℃の熱に長時間触れ続けることで低温やけどが起こる、という注意書きが添えられている

見落とされがちな脱水

暖かい環境では、水を飲む量が減ることがあります。

もう一つ、あまり語られない問題があります。脱水です。

床暖房を使う季節、ペットは「喉が渇いた」という感覚が鈍くなりやすく、水を飲む量が自然と減る傾向があります。暖かい室内では水分蒸発に気づかず、知らないうちに軽い脱水状態になることがあります。特に高齢の犬や猫は、もともと喉の渇きを覚えにくい傾向があります。水飲み場を通りやすい場所に置き、新鮮な水を常に用意しておくことが、地味ですが大切な対策です。

器の水を飲む猫の写真。暖かいと水を飲む量が減る傾向がある、という吹き出しが添えられている

「逃げ場」を設計に組み込む

床暖房そのものを否定するのではなく、上手に取り入れましょう。

床暖房そのものを否定しているわけではありません。温水式で温度が適切に管理され、逃げ場が確保されていれば、ペットにとっても穏やかな暖かさです。

床暖房を使う際に大切なのは、部屋全体を同じ環境にしないことです。暖かい場所とそうでない場所を行き来できるようにする。暖房の届かない部屋や廊下を残す。キャットタワーや台で高さに逃げられるようにする。そういった選択肢が、ペットにとって安全な環境をつくります。

リフォームで床暖房を検討するとき、Pono.Houseで気にするのがこの「逃げ場の設計」です。敷設エリアを部屋全体ではなく一部にとどめること。それだけで、ペットが自分で体温を調節できる余地が生まれます。

床に近い暮らしをするペットにとって、床の温度は人間が思う以上に大きな問題です。

リフォームで床暖房を検討する際は、「逃げ場のある設計」を意識してみてください。

リビングを俯瞰した図。床暖房のある「暖かいエリア」と、床暖房のない「涼しい逃げ場」が同じ部屋に描かれている

Questions

よくあるご質問

床暖房はペットに安全ですか?
温水式床暖房の床面温度は通常25〜30℃で、人の体温より低い温度です。ただし犬猫は肉球付近にしか汗腺がなく、冷たい床に寝転がって体温調節するため、床が常に暖かいと逃げ場がなくなります。暖房エリアを部屋の一部にとどめる設計が大切です。
犬や猫は床暖房で低温やけどしますか?
通常の温水式なら低温やけどのリスクは低いとされていますが、被毛があるため皮膚が熱さを感じにくく、やけどが進行しても飼い主が気づきにくいことがあります。電気式は部分的に温度が高くなる場合があり注意が必要です。
床暖房のある家でペットのためにできる対策は?
敷設エリアを部屋全体ではなく一部にとどめること、暖房の届かない廊下や別の部屋を残すこと、キャットタワーなどで高さに逃げられるようにすること、水飲み場を通りやすい場所に置くことが有効です。

気になることがあれば、お気軽にどうぞ。

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