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漆喰・珪藻土・塗装、ペットの爪に一番強いのはどれか

素材選びより大切なこと

漆喰の壁の前に静かに座る、キジトラ猫
強い壁より、研いでいい場所をつくる。

「猫を飼っているので、壁を爪研ぎされないか心配で」という相談は、ペット住宅のリフォームで最もよくいただく悩みのひとつです。でも、どの素材が強いかを比べる前に、まず知っておくべきことがあります。

猫はなぜ壁で爪を研ぐのか

猫の爪とぎは、爪の手入れだけが目的ではありません。足の裏の臭腺でマーキングをするという行動の側面もあります。つまり「この場所は自分のなわばり」という主張です。そのため、どれほど丈夫な壁材にしても、猫が「ここ」と決めた場所への爪とぎは完全には防げません。

この前提を踏まえた上で、素材の性質を見ていきます。

漆喰の性質

漆喰の主成分は消石灰(水酸化カルシウム)です。漆喰には気硬性と呼ばれる性質があり、空気中の二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムに変化することで、硬い石灰石へと戻っていきます。そのため、時間が経過しても、珪藻土のようにボロボロと表面が剥がれることにはなりにくいです。

施工直後より数年後の方が硬くなるという特性は、壁材としては珍しい性質です。「猫の爪研ぎにも強い」と謳うメーカーの製品も存在します。ただしその強度は施工の厚みや仕上げの方法にも左右されます。

珪藻土の性質

珪藻土は植物プランクトンの化石が主成分です。珪藻土そのものは乾燥してもボロボロ崩れてしまいます。そこで石灰やセメントや粘土、そして合成樹脂等を添加することにより硬化させて左官壁として成立させています。

時間の経過とともに樹脂が劣化して、ポロポロと擦れて落ちてしまう可能性があります。つまり珪藻土の強度は、何を混ぜているかというメーカーごとの配合によって大きく変わります。「天然素材」と見た目は似ていても、製品によって耐久性に差があります。

ビニールクロス(塗装壁紙)の性質

クロスは爪研ぎのえじきになって、すぐに剥がされてしまいます。これは多くのペット飼育者が実感していることです。一方で補修が比較的容易で、部分的な張り替えもしやすい。強さより「直しやすさ」を重視するなら選択肢になります。ペット対応の強化クロスも市場には存在します。

結論、そして本質的な問い

耐久性の順でいえば、珪藻土と漆喰を比較した場合、耐久性は漆喰に軍配が上がります。ただし漆喰の硬さも施工方法次第で変わります。

しかし、どれだけ丈夫な素材を選んでも、猫が気に入った場所への爪とぎは続きます。Pono.Houseでよく提案するのは、素材の強さを上げることより「爪研ぎの逃げ場をつくること」です。壁の腰高部分だけ無垢の板を張る腰壁(ウェインスコット)、専用の爪研ぎ柱を造作で設ける、猫が好む質感の素材を爪研ぎ用に別途設置する。

壁材選びの正解は「一番強いもの」ではなく、「猫が研いでもいい場所をどう設計するか」にあるのかもしれません。

気になることがあれば、お気軽にどうぞ。

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