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本漆喰と、漆喰。

「漆喰」と書いてあるのに、中身はまるで違うことがあります

文: 所沢の工務店 Pono.House

漆喰の壁に差し込む光の中、クッションの上で丸くなる茶トラ猫
同じ「漆喰」でも、中身はひとつではありません。

この記事の結論

「漆喰」と表示されていても、主原料が消石灰ではなく合成樹脂の商品が存在します。本物の漆喰かどうかは、①成分表に消石灰(水酸化カルシウム)の記載があるか、②合成樹脂・アクリル樹脂の記載がないか、③建築基準法の不燃材料認定があるか——の3点で確かめられます。


まず、いちばん大事なこと

「漆喰」と書かれた商品を買ったのに、届いたら主原料が合成樹脂だった——そんなことが実際に起きます。

日本には「漆喰」という言葉の使い方を縛る法律がありません。自然素材メーカーのロハスウォール(創業80年)は公式サイトで、ローラータイプの漆喰には消石灰がほとんど含まれず、中には成分表に消石灰の記載すらない商品もある、と指摘しています。

ペットと暮らす家に自然素材の壁を選びたい、と考えるなら、まずこの前提から知っておいてほしいと思います。

そもそも漆喰とは何か

漆喰(しっくい)とは、消石灰(水酸化カルシウム)を主原料にした塗り壁材のことです。

消石灰は、石灰石を1000度以上で焼き、水を加えて作られます。その石灰石のもとをたどると、サンゴ礁が長い年月をかけて堆積したものです。文字通り、地球からいただく素材です。

この消石灰に、糊(のり)と、繊維(すさ)を混ぜて練ったものが、古くから日本で使われてきた漆喰です。塗られた漆喰は、空気中の二酸化炭素を吸いながら、長い年月をかけて、ゆっくり元の石灰石(炭酸カルシウム)に戻っていきます。壁が、少しずつ石になっていく素材です。

漆喰は、大きく3つに分けられます

「本漆喰」という言葉は、法律で定義されたものではありません。現場や業界で慣習的に使われている呼び方で、主に既調合漆喰との対比で使われます。

本漆喰(伝統的な炊き糊漆喰)

消石灰に、海藻を現場で炊いてつくった糊と、麻すさ(麻の繊維)を、職人が混ぜて練ったもの。お城や蔵の壁に使われてきた伝統工法で、自然素材だけでつくられます。

既調合漆喰

メーカーが工場で消石灰・糊・繊維・骨材を配合し、袋や缶で出荷している製品。現代の住宅の「漆喰」の多くはこれです。

大切なのは、既調合漆喰の中にも幅があること。糊に海藻のりを使った自然素材100%のものと、合成樹脂・化学繊維を使ったものがあり、どちらも「漆喰」として売られています。

漆喰塗料・漆喰風塗り壁

ローラーやハケで塗れる、塗料タイプの製品。消石灰の含有量が少なく、主原料が合成樹脂という商品も含まれます。外見は漆喰に似ていますが、中身は塗料に近い性質です。

「漆喰」表示の裏を読む、3つのチェックポイント

商品名や広告文だけでは見分けられません。確かめるのは成分表示です。

① 主成分に「消石灰(水酸化カルシウム)」があるか

漆喰の主原料は消石灰です。成分表の最初に消石灰が来ていない、または記載がない——名前が漆喰でも、中身は漆喰ではないサインです。

② 「合成樹脂」「アクリル樹脂」の記載がないか

つなぎ(のり)に合成樹脂を使った製品は、自然素材100%ではありません。こだわる場合は、糊が海藻のりなどの天然素材かを確認します。

③ 建築基準法の「不燃材料」認定があるか

消石灰を主原料にした漆喰は、建築基準法上の不燃材料(加熱後20分間燃焼しない・有害な煙やガスが発生しない)に該当します。栃木の漆喰メーカー、日本プラスターは自社漆喰が不燃材料告示(平成12年建設省告示第1400号)のしっくいに該当することを公式サイトで明示しています。

漆喰風の塗料にはこの認定がないものもあります。「不燃材料」表示の有無は、わかりやすい見分けの目安です。

ペットと暮らす家の空気に、なぜこの違いが効くか

壁は、部屋の空気をつくる素材です。漆喰の調湿やホルムアルデヒドの分解は、壁に触れるから効くのではなく、部屋全体の空気に作用します。

本物の漆喰には、メーカーの公開情報で確かめられる性質があります。

調湿性。 消石灰の壁は多孔質で、湿気の多いときに水分を吸い、乾いたときに放出します。ペット臭がこもりやすい部屋に、考える価値のある素材です。

ホルムアルデヒドの吸着・分解。 高知石灰工業は公式サイトで、消石灰の強アルカリがホルムアルデヒドを吸着し、無害な物質(ホルモース)に分解する仕組みを公開しています。シックハウスの原因物質を、壁自体が取り込んでいく素材です。

カビが生えにくい。 消石灰は強アルカリ性のため、カビや細菌が繁殖しにくい性質があります。ペットの寝床まわりの壁に向きます。

これらは消石灰そのものが持つ性質です。消石灰の含有量が少ない「漆喰風」の商品では期待できません。

費用について

漆喰の施工費用は、ひとつの数字では表せません。壁の下地の状態、部屋の広さや形、使う漆喰の種類、時期や現場の場所によっても変わります。養生や下地処理にどれだけ手をかけるかでも、大きく違います。

ネットには「1㎡あたり○○円」という相場が出ていますが、あれは条件をそろえた目安であって、そのまま見積もりの金額になるわけではありません。養生費や諸経費の含め方も、会社によって異なります。

いちばん確かなのは、壁を見て、お話をして、そのうえで出す見積もりです。

正直な注意点

本漆喰は施工者を選びます。 現場で炊き糊漆喰を練れる左官職人は減っています。現代の住宅で自然素材100%を選ぶなら、既調合漆喰の中で「自然素材のみ」と明記された製品を選ぶのが現実的です。

調湿建材のJIS基準は超えないことが多い。 JIS A 6909の調湿建材基準は「1㎡が24時間で70g以上の水蒸気を吸放出」ですが、一般的な漆喰はこの基準に届かないことが多い、と言われています。調湿しないわけではありませんが、JIS基準をクリアした「調湿建材」とは言い切れない——ここは正直にお伝えします。

DIYは目に注意。 消石灰は強アルカリで、目に入ると視力に影響する恐れがあります。運動場の白線に使われなくなったのもこの理由です。DIYでは必ず保護メガネを着けてください。

「漆喰=すべて安全」ではない。 「漆喰」の表示は中身を保証しません。選ぶときは、必ず成分を見てください。

私たちの考え方

YOHAKU ペットは、所沢のリノベーション会社 Pono.House が運営する情報サイトです。

「漆喰」という名前だけで安心するのではなく、成分表を見て選ぶ。これは特別なことではなく、素材を扱う会社として当たり前にしたいことです。本漆喰にこだわるか、自然素材100%の既調合漆喰を選ぶか、費用や施工のしやすさを優先するか——正解はひとつではありません。壁の状態や暮らし方に合わせて、一緒に考えていければと思います。

漆喰の爪とぎへの強さについては、漆喰・珪藻土・塗装、ペットの爪に一番強いのはどれか でも詳しくまとめています。

Questions

「本漆喰」と「漆喰」は何が違うのですか?
「本漆喰」は法律で定義された言葉ではなく、業界慣習の呼び方です。多くの場合、現場で消石灰・海藻のり・麻すさを練ってつくる伝統的な工法や、自然素材のみで作られた漆喰を指し、メーカーが工場で調合した「既調合漆喰」と対比して使われます。
「漆喰塗料」は本物の漆喰ですか?
商品によります。消石灰を主原料にしたものもありますが、主成分が合成樹脂で消石灰がほとんど入っていない製品もあります。名前だけでは判断できないため、成分表で消石灰の記載を確認してください。
漆喰と珪藻土は何が違いますか?
主原料と固まる仕組みが違います。漆喰は消石灰が主原料で、空気中の二酸化炭素と反応して自ら固まります。珪藻土は植物性プランクトンの化石が主原料で、自ら固まる力がないため、固化材(つなぎ)を混ぜる必要があります。調湿はどちらも得意ですが、強アルカリによる抗菌性やホルムアルデヒド分解は漆喰側の特徴です。
漆喰の施工費用はいくらくらいですか?
下地の状態・部屋の広さ・漆喰の種類・時期・場所によって変わるため、一概には言えません。ネットに出ている㎡単価は条件をそろえた目安で、養生費や諸経費の扱いも会社によって異なります。正確な費用は、壁の状態を見たうえでのお見積もりでご確認ください。
漆喰は自分で塗れますか?
練り済みのDIY用漆喰が市販されており、自分で塗ることは可能です。ただし消石灰は強アルカリで、目に入ると視力に影響する恐れがあるため、保護メガネの着用が必須です。下地処理や乾燥管理も仕上がりを左右するので、広い面積や本格的な仕上げは施工者への依頼をおすすめします。
ペットと暮らす家に、どの漆喰を選べばいいですか?
漆喰に期待する性質(調湿・抗菌・ホルムアルデヒド分解)は、消石灰そのものが持つ性質です。合成樹脂が主成分の製品では、これらの効果は期待しにくくなります。合成樹脂が入っているから危険、ということではなく、目的に合った中身かどうかを、成分表で確認してください。迷ったら、施工者に相談するのがいちばん確かです。
壁紙(クロス)と漆喰、どちらがいいですか?
どちらが良いかは、何を優先するかで変わります。費用を抑えたい、色柄を選びたい、手軽に張り替えたい——こうした場合はクロスが向いています。部屋の空気環境を整えたい、自然素材にこだわりたい、長く使い続けたい——こうした場合は漆喰が向いています。どちらかが「正解」ではなく、暮らし方に合うほうを選ぶものです。迷っているなら、そこから一緒に考えます。

気になることがあれば、お気軽にどうぞ。

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